合成洗剤を何本も買い揃えて、キッチンにはこれ、お風呂にはこれ、トイレにはこれ……って、正直うんざりしません?場所を取るし、お金もかかるし、使い切れなくて棚の奥で化石化してるやつとかありません?
私が重曹に出会ったのは大学3年のとき。サステナビリティの授業で「家庭から出る化学物質の環境負荷」について調べていて、「あれ、重曹でだいたい代用できるじゃん」と気づいたんです。以来5年、ほぼ重曹だけで家中を掃除する生活を続けています。
ただし正直に言うと、「万能」は言い過ぎ。1ヶ月間ガチで重曹オンリー生活を試した結果、得意分野と苦手分野がはっきり見えてきました。今日は場所別に、成功と失敗の全記録をお伝えします。
重曹の基礎知識——なぜ汚れが落ちるのか
重曹の正式名称は「炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)」。弱アルカリ性の白い粉末で、水に溶かすとpH8.2くらいです。
汚れが落ちる理由は3つ。1つ目は弱アルカリ性による中和作用。キッチンの油汚れや皮脂汚れは「酸性」なので、アルカリ性の重曹で中和されて落ちやすくなります。化学の授業で習ったやつ、こんなところで活きるとは。
2つ目は研磨作用。重曹の粒子は水に完全には溶けず、細かい粒が残ります。これがクレンザー的な役割を果たしてこびりついた汚れを物理的にこすり落とす。ただし粒子が柔らかいので、ステンレスや陶器を傷つけにくいのが市販クレンザーとの違いです。
3つ目は消臭・吸湿作用。重曹は臭いの原因物質を吸着して中和します。冷蔵庫や靴箱の消臭に使われるのはこの性質のおかげ。つまり重曹は「中和」「研磨」「消臭」の三刀流なんです。
キッチン編——油汚れとの格闘記録
コンロ・五徳の油汚れ【成功】
ここは重曹の独壇場でした。重曹大さじ3に水大さじ1を混ぜてペースト状にして油汚れに塗り、ラップで覆って30分放置。あとはスポンジでこするだけ。ビックリするくらい落ちます。市販のコンロクリーナーと遜色ないレベル。
五徳がひどい場合は、大きな鍋にお湯を沸かして重曹を入れ(水1Lに対して重曹大さじ4〜5)、五徳をぶち込んで20〜30分煮る方法も。焦げ付きがふやけてスルッと剥がれます。初めてやったとき「なにこれ魔法?」って思わず声に出ました。
ポイントは「放置時間」。5分10分だと全然ダメで、最低20分は必要。夜寝る前にペーストを塗っておいて朝こするルーティンにしたら、むしろ楽になりました。
シンクのくすみ【まあまあ成功】
シンクの白いくもりは水道水のミネラル分(水垢)。これは実はアルカリ性の汚れなので、重曹だけだとちょっと力不足。重曹を粉のまま振りかけて湿らせたスポンジでくるくるこする方法で、研磨作用で水垢を物理的に削り取れます。ピカピカとまでは難しいけど、くもりはかなり改善。
排水口のぬめり・臭い【大成功】
排水口に重曹をカップ半分くらいどさっと振りかけて、その上から熱湯をゆっくり注ぐ。シュワシュワと泡立って、ぬめりと臭いが一気にスッキリ。週1回やるだけで排水口掃除のストレスが激減しました。パイプクリーナーを買わなくなったのは、地味だけど大きな変化です。
浴室編——皮脂汚れとカビの境界線
浴槽の皮脂リング【成功】
お風呂を抜いたあとの浴槽、水面のラインに沿ってうっすら灰色の線がつきますよね。あれは皮脂汚れ。残り湯に重曹カップ1杯を入れてひと晩放置すると、翌朝スポンジで軽くこすっただけで落ちます。風呂椅子や洗面器も一緒に沈めておけばまとめてキレイに。このつけ置き作戦、ズボラの味方です。
鏡の曇り【まあまあ】
重曹ペースト(重曹3:水1)を塗ってラップで覆い1時間放置。その後やわらかい布でこすると、かなりクリアになりました。ただし完璧ではなくて、長年蓄積した水垢には限界があります。
カビ【完全に敗北】
正直に告白します。すでに生えてしまった黒カビには、重曹だけでは太刀打ちできません。カビの根は奥深くまで入り込んでいるので、表面をいくらこすっても再発します。ここは素直に浴室用クリーナーの力を借りるべき。
ただし「予防」なら重曹は優秀。入浴後に重曹水(水500mlに重曹大さじ2)をスプレーしておくと、カビの栄養源になる皮脂汚れを中和してくれます。カビが生える前に栄養を断つ発想です。
トイレ編——消臭は得意、尿石は苦手
トイレの黄ばみ(尿石)はアルカリ性の汚れなので、重曹(アルカリ性)だけでは正直限界があります。ガチの尿石にはクエン酸や酸性洗剤が必要。
でも日常的な清掃と消臭なら重曹で十分。便器に重曹大さじ2を振りかけてブラシでこすればOK。タンク内の汚れ防止には、タンクに重曹カップ1杯を入れて6時間以上放置(寝る前がベスト)。タンク内の汚れとカビを予防できて、流すと便器も一緒にキレイになる一石二鳥。
消臭用途では、重曹を小瓶に入れてトイレに置くだけで効果あり。1〜2ヶ月で交換して、使い終わった重曹はそのまま掃除に転用すれば無駄なし。
ちなみにトイレの便器の中に重曹を振りかけて一晩放置する「オーバーナイト作戦」も試してみました。翌朝ブラシで軽くこすると、水面下の黄ばみがだいぶマシに。完璧じゃないけど、酸性洗剤を使わずにここまでできるのは発見でした。
重曹NGの場所——ここだけは使わないで
万能に見える重曹ですが、使っちゃダメな場所もあります。知らないと取り返しがつかないので、しっかり覚えてください。
- アルミ製品:重曹のアルカリ性でアルミが黒ずむ。アルミ鍋、やかんにはNG。私はお気に入りの雪平鍋を真っ黒にした前科あり。
- 大理石・天然石:研磨作用で表面に傷がつく可能性。
- 漆器・木製品:コーティングを傷める恐れあり。
- テフロン加工のフライパン:研磨でコーティングが剥がれる危険性。
あと補足すると、重曹は水に溶かしても「弱」アルカリ性。手荒れの心配は少ないですが、長時間触れ続けると肌が乾燥することがあります。敏感肌の人はゴム手袋をしたほうが安心です。手荒れしたら掃除のモチベーションが下がるので、予防は大事。
掃除用品コストの比較でいうと、私の場合は重曹生活に切り替えてから月の掃除用品代が約2000円から400円に下がりました。重曹5kgで1000円、これで2〜3ヶ月は持ちます。浮いたお金でオーガニック食材を買うのが最近の楽しみ。
よくある質問
Q. 食用の重曹と掃除用、何が違いますか?
成分は同じ炭酸水素ナトリウムですが、食用は食品衛生法に基づく品質管理がされています。掃除用は粒度が粗かったり不純物の基準が緩かったりします。掃除には安い掃除用で十分。逆に料理に掃除用を使うのはNGです。
Q. 重曹水はどのくらい保存できますか?
スプレーボトルに作った重曹水は1〜2週間が目安。時間が経つと溶け残りが沈殿してスプレーが詰まります。「使うときに作る」がベストです。
Q. 重曹とクエン酸を混ぜると発泡しますが、意味ありますか?
発泡自体に強い洗浄力があるわけではありません。ただ泡の物理的な力で汚れを浮かせる効果は多少あります。排水口の汚れには一定の効果あり。「混ぜるな危険」の組み合わせではないので安全です。
Q. 重曹で洗濯もできますか?
できますが洗浄力は合成洗剤に大きく劣ります。軽い汚れや臭い対策として洗剤に大さじ1〜2を足す「ちょい足し」がおすすめ。重曹だけだと汗汚れや皮脂汚れはほとんど落ちません。
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