56歳にして、生まれて初めてニットを自分で洗いました。結果、妻のお気に入りのカシミヤセーターを見事に縮ませまして。「もう触らないで」と言われたのが2ヶ月前の話です。いやあ、洗濯って奥が深い。

でもね、そこで諦めないのが元メーカーエンジニアの性分でして。なぜ縮んだのか原因を調べ、正しい方法を学び、何着も練習した結果、今では妻に「クリーニング屋より丁寧」と言われるまでになりました。失敗した分だけ、やってはいけないことがはっきりわかったので、同じ失敗をする方が一人でも減ればと思いまして、全部書きます。

まず洗濯表示を確認する(ここが最重要)

妻に「洗濯表示くらい見て」と言われた意味が、カシミヤ事件でようやくわかりました。あのマーク、ちゃんと意味がある。

手洗いマーク(桶に手のマーク)

このマークがあれば、自宅での手洗いが可能です。桶の中の数字は水温の上限。30なら30度以下、40なら40度以下で洗えます。ニットは基本的に30度以下が安全。

洗濯機マーク(桶のマーク、手なし)

桶だけのマークなら洗濯機OKですが、ニットの場合は「おしゃれ着コース」や「手洗いコース」を選ぶのが鉄則。標準コースで回すと悲劇が起きます。私のカシミヤのように。

×マーク(桶に×)

家庭では洗えません。おとなしくクリーニングに出してください。私はこのマークを無視してカシミヤを洗った結果、Mサイズがキッズサイズになりました。

手洗い方法:これが一番安全

最も型崩れリスクが低いのは手洗い。慣れれば15分で終わります。

準備するもの

  • 洗面器(または洗面台に栓をして使用)
  • おしゃれ着用洗剤(エマールやアクロン)。普通の洗剤は絶対NG
  • 洗濯ネット(中型・細かい目のもの)
  • バスタオル2枚(脱水用)

手順

1. 洗面器にぬるま湯を張る

水温は30度以下。「ぬるいかな?」くらいがちょうどいい。熱いお湯は繊維が縮む最大の原因です。お風呂の残り湯は温度が高すぎるので使わない。これ、私が最初に犯したミスです。

2. 洗剤を溶かす

ニットを入れる前に、先に洗剤を溶かす。原液を直接衣類にかけるのはNG。色ムラの原因になります。

3. 押し洗いする

ニットをたたんで沈めて、やさしく押す→浮かせる→押すを20回くらい繰り返す。揉まない、こすらない、絞らない。この3つを守れば大丈夫。私は最初ゴシゴシ揉んでしまって、繊維がフェルト化しかけました。

4. すすぐ

きれいな水に入れ替えて、同じように押し洗い。2〜3回水を替えて、泡が出なくなるまで。

5. 脱水はタオルドライ

絞るのは厳禁。バスタオルの上にニットを広げて、もう1枚のタオルで挟んで、上から軽く押して水分を吸わせる。洗濯機の脱水を使うなら、ネットに入れて30秒だけ。長い脱水は型崩れの元。

洗濯機で洗う場合の注意点

手洗いが面倒という気持ちはよくわかります。洗濯機でも、いくつかのポイントを押さえれば大丈夫。

必ず洗濯ネットに入れる

ニット1枚につきネット1枚。これは絶対。ネットに入れずに洗うと、他の衣類と絡まって伸びます。ネットに入れる際は、たたんでネットのサイズにフィットする状態で。ぐしゃっと丸めて入れたら無防備と同じ。

コース選択

「おしゃれ着コース」「ドライコース」「手洗いコース」など、弱い水流のコースを選択。メーカーによって名前が違いますが、要は回転が穏やかなモードです。標準コースの強い水流はニットの天敵。

おしゃれ着用洗剤を使う

何度でも言いますが、普通の洗剤は使わない。アタックやナノックスは洗浄力が強くて、ニットの繊維を傷めます。エマールやアクロンなど中性のおしゃれ着用洗剤を使ってください。

干し方で差がつく

平干しが基本

ニットをハンガーにかけると、水分の重みで肩の部分が伸びる。これ、やってしまいがちですがNG。専用の平干しネットか、お風呂のフタの上にバスタオルを敷いて、その上にニットを広げる。

形を整えてから干す

干す前に、元の形に整えるのが超大事。袖の長さを左右揃えて、身幅を整えて、シワを伸ばす。この一手間で仕上がりが段違い。クリーニング屋さんが必ずやっている工程です。

直射日光は避ける

色褪せと生地の傷みの原因。風通しの良い日陰がベスト。室内干しでもOKですが、サーキュレーターを回すと乾きが早い。

洗濯頻度とクリーニングの使い分け

ニットは毎回洗う必要はありません。むしろ洗いすぎると生地が傷む。じゃあどのくらいの頻度が正解なのか。

基本は「2〜3回着たら1回洗う」

直接肌に触れるインナーの上に着るニットなら、2〜3回着たら1回洗うペースで十分。汗をかいた日や、焼肉屋に行った日は別ですが。着た後はハンガーにかけて風通しの良い場所で1日陰干しすれば、臭いはほぼリセットされます。

クリーニングに出すべきニット

カシミヤ、アンゴラ、モヘアなど高級素材のニットはクリーニング推奨。自分で失敗するリスクと、クリーニング代(800〜1,500円程度)を天秤にかけたら、プロに任せたほうが合理的。妻のカシミヤを縮ませた身としては、心の底からそう思います。

シーズンオフの保管

冬が終わったら、洗ってから防虫剤と一緒にしまう。汚れがついたまま保管すると虫食いの原因になる。たたんで保管するのがベスト。ハンガーにかけっぱなしだと自重で伸びてしまいます。

よくある質問

Q. 縮んでしまったニットは元に戻せる?

A. 軽い縮みなら復活の可能性あり。ぬるま湯にヘアコンディショナーを溶かして30分浸け、繊維をやさしく伸ばしながら形を整えて平干し。ただしカシミヤのフェルト化は不可逆なので、そうなったら諦めて…私のように…。

Q. おしゃれ着用洗剤がないときは食器用洗剤で代用できる?

A. 緊急時なら中性の食器用洗剤で代用可能ですが、繊維へのケア成分が入っていないので仕上がりは劣ります。おしゃれ着用洗剤は1本500円程度で数ヶ月持つので、常備しておくことをおすすめします。

Q. クリーニングと自宅洗い、どちらがニットに優しい?

A. 実は手洗いのほうが優しい場合が多い。クリーニングの「ドライクリーニング」は有機溶剤を使うので、繊維への負荷がゼロではない。ただし、自分で洗う自信がないときはプロに任せたほうが安全。無理は禁物です。

Q. 毛玉ができてしまったニットはどうすればいい?

A. 毛玉取り器で丁寧に処理するのが一番きれいに仕上がります。手でむしると繊維が傷んでさらに毛玉ができやすくなるのでNG。100均の毛玉取り器でも十分使えますが、テスコムやイズミの電動タイプは仕上がりが段違い。毛玉を取ったら裏返して洗濯ネットに入れて洗うことで、再発を予防できます。

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